流動性管理について

e-Forex2013年4月号より。
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Nicholas Pratt氏は、FXブローカーの流動性管理サービスの利用を方向付けた問題と、そのサービスの成否が競争の激しいマーケットにていかに左右されるか分析している。

流動性アグリゲーションツールの増加を抑制できるかどうかは、企業個人共にFXブローカーにとって非常に重大な問題だ。ブローカーが流動性プロバイダーを選択する際に左右する様々な要素、信用の質や価格などは、流動性管理のアグリゲーションツールを構築する際に必ず考慮に入れなければならない。たとえば、電子商取引ネットワーク(ECN)ブローカレッジ操作へのシームレスなサポート、流動性ソースへの低遅延アクセス、リアルタイムなリスク管理ツールの提供、マーケットメーカーへのサポート、優れたプラットフォームとの統合、などである。

「リテールFXブローカーにとって流動性管理は特に重要です」と、FXマーケット対象の自動取引約定およびルーティングソフトウェアを開発するoneZero Financial SystemsのCEOであり共同創設者でもあるAndrew Ralich氏は語る。「FXリテール取引の利用者増加に伴い、ブローカーは競争力を保ち続けるため、質の良い流動性を顧客のために探さねばならないというプレッシャーをますます感じています。

これにより、フロントエンドプラットフォームの接続性、リジェクトとスリッページが考慮された安定した約定、多数のアセットクラスにわたるタイトなスプレッドなどを提供する順応性あるカスタムメイドのサービスの需要が生まれた。「シングルアセットまたはラストルック集約システムは、流動性ソリューションの質、プラットフォームの安定性、約定のスピードなど現代的なリテールブローカーの様々なニーズに合わせた新しいソリューションに道を譲っている」とRalich氏。

流動性プロバイダーの選択は、ブローカーやベストオプションについて違った見解を保証する者にとってはコンプレックスだ、とRalich氏は語る。「この連続体の究極の目的は流動性プロバイダーの最大限の数を集約するオプション、もしくはその対極で、特定の流動性プロバイダーとの緊密な提携を行うことです」

ブローカーの選択を決定づける要素は、スプレッド、取引決済方法、スリッページまたはリジェクションの可能性、そして個人的な関係など。「FX市場で標準となった完璧なコンフィギュレーションなど存在しません。また、ブローカーはベストな結果を約束するため、各要素の賛否両論を釣り合いのとれたマトリックスと調和させる必要があります」とRalich氏は言う。

順応性ある流動性アグリゲーション、より適応性ある流動性技術へのアプローチにより、アグリゲーションソリューションプロバイダーが、さらにカスタマイズされた流動性プールやダイレクトアクセスの環境をブローカーに提供できるようになりました」「CFDのクロスアセット流動性ルーティングとFXのシングルソリューションは、AブックやBブックにとらわれないスマートオーダールーティングと同様、クロスマージン、リスク管理、約定の方法をさらに順応性あるものにしています」

流動性管理サービスは、増え続けるECNとストレート・スルー・プロセッシング(STP)のブローカレッジ業務の要求に応じなければならない。「ブローカレッジ業者はリスク管理と流動性システムのために密結合した報告調整ツールが必要です」とRalich氏。「伝統的な『ブリッジ』販売業者は、MT4やcTraderのような人気あるフロントエンドサービスと直接作動すると実証されたプラットフォームでの進んだ報告管理と流動性管理をサポートするプラットフォームを構築中です」

ブローカーに関しては、Ralich氏はBブックマーケットメイク取引からCブックへの大きな変化を目にした。「これは、ブローカーがBブックビジネスの価値はあるがそれを運用するための資本または規制がない、と気づいたことによります。さらにすすんだ流動性プロバイダーは、Aブックモデルで多くのその他流動性プロバイダーと競合するより、ブローカーからのすべてのフローを保存し、ブローカーと利益を分配したほうがより価値がある、と気づいています」

ブローカーが流動性アプリケーションを最大限に生かすためには、社員とインフラの優れたコンビネーションが欠かせません、とRalich氏は語る。「テクノロジー中心のブローカーが顧客のニーズまたはマーケットの慣習に応えるためビジネス中心の社員のニーズを見逃し、また、ビジネスに精通しているがインストールされたプラットフォームを使いこなせるほどの技術経験がないブローカーを同じくよく見かけます。ビジネスとテクノロジー両方のノウハウにバランスがとれているブローカーがソリューションを管理し実行できるでしょう。ブローカーが使うインフラを考慮することも重要です」

コンポーネンツの結合

正しいコンポーネンツの結合も非常に重要です、とRalichは語る。「現在のマーケットプレースでは多くのオプションが選択できますが、ブローカーの流動性管理ソリューションはその一番弱いリンクと同じほどの強さしかありません。これは特にECNやSTPブローカーに言えることです。強い流動性プールは、流動性をプラットフォームまたはフロントエンドに接続するブリッジコンポーネントが弱いとその価値はほとんどありません。またその逆もいえます。高性能の流動性プラットフォームのいくつかは、リテールフローのユニークな取引性質に合わせる拡張性高い方法に欠けています」

競争の激しいリテールFX取引ビジネスの状況を考えると、よりよい効果のある流動性管理戦略が成功と失敗の分かれ目になりうる、とRalich氏は考える。「リテールFXのスプレッドが機関投資家の2倍だった時期がありますが、今では変わってリテールのほうが厳しくなっています。ブローカーがこの環境で競争するためには、最低競合相手と同じタイトなスプレッドを設定すべきです。すべての流動性プロバイダーとよい関係を維持できるよう効果ある流動性管理ソリューションを持つことが大事です。これまでに見た成功した戦略は、異なるタイプの取引と複数の流動性グループのためにカスタマイズされたストリームです。万一ブローカーがいい流動性管理戦略を実行できなかった場合、多くの流動性プロバイダーが離れて行くかまたは価格を広げるかするでしょう。これは最終的に競合できないソリューションになります」

流動性管理サービスは、特にこの成長が速いリテールFX業界で、FXブローカレッジ業界の進化を実現させました、とRalich氏。「一件ずつの取引の裏では、取引に参加している投資家がリスクを負っています。それはブローカーもしくはSTPまたはECNソリューションのバックエンドにある銀行でしょう。ハイエンドの 機関投資家に用意されていた高性能な流動性管理ツールと機能がリテール取引のブローカーの手に渡ろうとしており、それがどのように顧客に提供できる流動性の質を進化させるか見ごたえがあるでしょう」

高性能な流動性管理

FXブローカレッジのためのソフトウェア開発業者であるFX ProductsやDevexpertsの副社長、Stanislav Stolyar氏によると、リテールおよび機関投資家の流動性管理のニーズは顧客のタイプとブローカレッジ業務の性質によるらしい。「おもにBブックの大手FXブローカレッジ業者を見てきましたが、彼らの最大の強みがマーケティングと顧客維持であるため、流動性の種類にはそんなに依存していません。一方、機関投資家、プロのトレーダーまたは大口個人投資家を顧客にするFXブローカーはリスク管理を効果的に行うため高性能な流動性管理ソリューションを採用すべきでしょう」

同様に、ブローカーによる流動性プロバイダーの選択はこれら同じ要素に影響される、とStolyar氏。「ブローカーが一日中リスク管理を行うために複数の流動性プロバイダーが必要であれば、取引のコストは重要な役割を果たします。この場合流動性プロバイダーと個人的な付き合いおよび信頼関係がものを言うでしょう。」

それに応じて、流動性プロバイダーはSTP/ECNブローカーやマーケットメーカー/B ブックのような異なるブローカレッジタイプをサポートするサービスを開発した、とStolyar氏は語る。「規制されたブローカレッジのティア1銀行でさえ比較的小口のボリュームから始め、時間とともにプライムブローカレッジサービスを必要とするビジネスに成長させる順応性高い流動性ソリューションをオファーし始めました。Bブックブローカレッジはその供給が公平で信頼できるものである限り流動性ソースにあまり依存しません。彼らのビジネスは、成功を助け、他の投資家とは違うマーケティングと顧客維持ソリューション次第です」

ブローカーは流動性アプリケーションと彼らが利用するプラットフォームでのサービスの統合を進めている、とStolyar氏は言う。「マーケットには今、様々な流動性ソースの統合プロセスにおいてFXブローカーをサポートする特別な業者があります。すべての技術的な問題を解決し、ブローカーに顧客を増やし、リスクを管理する、というコアビジネスに集中させることを可能にします。統合の技術的サポートは無償で行われるものではありません。どのITシステムは流動性プロバイダーとの統合を含め、定期的なアップデートが必要とされます」

リスクがあるサービスのため増加するブローカーの要求に応えるためのリアルタイムなリスクおよび流動性管理の新しいツールがある、とStolyar氏。「流動性ソリューションを必要とする業務の成長により、ブローカーは以前より注文が多くなりました。彼らはオーダーがどこに送られるかの決定を左右する様々なパラメーターを考慮しなければなりません。取引のコスト、時刻、以前の約定統計、その他リスクある情報などがそれです」

利益最適化

FXプライムブローカーTopFXのCEOであるGabriel Styllas氏によれば、流動性管理は基本的にリスク管理と利益最適化のことである。「今日、リテールFXブローカーはまだ銀行よりもはるかに簡単な流動性管理を行っています。リテールブローカーの多くにとって、マニュアルまたは自動の通貨変化リスク管理と組み合わせた低遅延STP約定が基本的なソリューションとなっています。しかし、常にコストが問題であるため、多くは高すぎる有名ブランドのソリューションや複数の流動性プロバイダーの利用をやめ始めました。加えて、自身の帳簿でリスクを負う流動性プロバイダーに対しても同様の傾向が見られるようになりました」

インテグレーションの簡易化は懸念事項でもあります、とStyllas氏。「他のグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)のAPIが統合容易な特定のソフトウェアブリッジを必要とする一方、ファイナンシャルインターフェースエクスチェンジ(FIX) APIは最先端のソリューションです。FXの取引量がグローバルな規模で増えている今、市場の厚みと低遅延約定は標準の条件となっています。STPは変動リスクヘッジ、トキシックフローのリダイレクト、Aブックビジネスのいずれかを行いたいリテールブローカーの出発点です。日常変動リスク管理のスタンダードとして、ファーストクラスのGUIがありとあらゆるマニュアルヘッジングのツールを提供しますが、無干渉を望む場合は自動化されたリスク管理ソフトウェアも利用できます。たとえば、チケットサイズが大きいために生じたリスクを5日間24時間で回避する場合、STPを自動ヘッジソフトウェアと統合することで容易に解決することができます」

流動性ソースへの低遅延アクセスによって得られる利点もあります。それは流動性管理サービスのプロバイダーが精通しているものです。「マーケットが非常に不安定な時でもSTPは価格と最低限のスリッページを可能にします。また、これまでBブックブローカーのリスクとなっていましたが、STPを使うことにより高頻度のアルゴリズム取引がAブックブローカーにとって利益あるものとなりました。上質な約定はブローカーとその顧客にとりウィンウィンシチュエーションとなり、利益性が最大化され、損失が最小化されると、すべてのレベルにおいて顧客満足が得られます」とStyllas氏は語った。

流動性への低遅延アクセス提供に加え、プラットフォームプロバイダーは流動性管理アプリケーションとプラットフォームをスムーズに統合させることによってブローカーをサポートすることができるはずです、とStyllas氏。「WLでなくティア1流動性との統合を目的とするリテールブローカーには自前のIT機能が必要とされます。また、サーバーサポートは業務リスクを回避するために必要とされるコアな機能です。様々なソフトウェアによってこの機能をアウトソーシングすることは

可能です。API統合はいつもFIXプロトコルが今日の業界標準となっているように、常に重要とされています」

Bブックのリテールブローカーが常に直面する課題はアグレッシブな取引を特定し管理することである。流動性管理にSTPソリューションを採用することによって、トキシックフローから利益を得ることもできる。「利益相反を回避しつつ顧客がアグレッシブに取引することが可能になります。

STPオプションは顧客ごとにパラメーターの実行を調節する自動ソフトウェアによって補うことができます。残念ながら、アグレッシブな取引による損失額に気づくのが遅い顧客もいます。また、遅延や誤動作を利用するリテールトレーダーもたくさんいます。オペレーティングマージンがタイトなときにはブローカーにとってP/L上の何十万ものドルが成功と失敗の分かれ目となります」

将来の動向として、Styllas氏は流動性管理は市場をリードするリテールGUIの開発と一般的なAブックリテールブローカーへのシフトに追随するだろうと信じている。「将来、流動性管理のためにさらに高性能なアルゴリズムを要求するため、マーケットテクノロジーとビジネスモデルは交わるでしょう。TopFXでは自動化から人工知能への進化および機械学習ソフトウェアを予見します。ダイナミックなリアルタイムの流動化管理の課題はもはや人ではなくプログラムによって解決されるのでしょう」

高価な関係

流動性管理サービス供給における比較的新しい進展は、複数の流動性プロバイダーから集約した流動性へのアクセスを提供しているトップティアFX銀行や流動性プロバイダーの数に見られる。2012年に開始したCitiFX TradeStreamは中間レベルの機関投資家をターゲットし、プライムブローカーもしくは第三者のテクノロジー会社を雇う必要性を取り除く集約流動性ソリューション である。「Citiにとっては全く新しい領域となるだろう」とCitiFXマージンFX取引グローバルヘッドのAlex Knight氏は語る。

Citiがこのマーケットに参入する論理的根拠はFXブローカーの間での次のような認識である;様々なサービス、ツール、プラットフォームの拡散にも関わらず流動性集約は多くのFXブローカーにとって高価なプロセスになりうる。「コストは、関係の複雑性と、多数の流動性プロバイダーを持ててもそれぞれにコストがかかるという事実にあります。これらのコストと流動性を集約するテクノロジーの間に興味深いテンションが見られます」とAlexは語る。

Citiは中間レベルの機関投資家に焦点を置いている、とAlexは話す。「大手ブローカーは自社の集約ツールを構築する資金やプライムブローカーを雇うためのバランスシートを持っています。しかし、プロセスの一部一部を管理するリソースを持ちません。匿名のフィードでプライムブローカーを使用したとしても複数の関係を維持しなければならず、そのブローカレッジ費用はかなりのものになります。TradeStreamは仲介人の数を最小限にしたシンプルなコア関係を持つ信用あるブランドであり、ソフトウェアの導入には手間がかかりません。他のソリューションのほとんどはこのうちの少なくとも一つは妥協しています」”

また、AlexはCitiが比較的小規模のFXブローカー用に設定されたシステムを提供する数少ない大型流動性プロバイダーのひとつであると信じている。「大手銀行はMeta Traderのようなツールとの密接な関係はありません。あなたが主要ブリッジプロバイダーを通して価格を実行できなかった場合は、この領域には向いていないということでしょう。

TradeStreamで取引を行う顧客は、伝統的な銀行のプライムブローカーからよりも高めのレバレッジで利益を得ます。これはマージンチェックが取引後ではなく取引の前に行われるからです」”

流動性プロバイダーとの付き合い

Citiが数あるバンクとノンバンクの流動性プロバイダーのひとつである一方、TradeStreamはフルエージェンシーベースで業務を行っている。「一般的に、その他複数のルートからいくつかのプロバイダーへのアクセスがある場合を除き、我々はすべての基本的な流動性プロバイダーへのアクセスを提供しています。この商品が大きな成功を収めるのは顧客だけでなく流動性プロバイダーにも価値を提供するという前提に拠ります。自力でなったリーディングマーケットメーカーとして、Citiはバランスを効率よく管理するニーズに非常に敏感です」

ブローカーが純粋に価格だけで競争する場合、流動性へのアクセスを最大限に利用するためリソースを投じるのは道理にかなっています。しかし、他の領域で競合する場合、またはそれに適当なスキルを持ち合わせていない場合は、その努力を正当化するのはより難しくなります。最高の流動性フィードを作ることはささいな問題ではありません。正確に分化された価格を提供するには、尺度、複数の関係、バランスシートへのアクセスが必要です。これらなくして費用効率が高い方法で自身の流動性プールを構築することはとても難しいのです、とKnight氏は語った。”

「世の中にはテクノロジーがごまんとあり、プライムブローカーのインフラはクレジット仲介を可能にしています。つまり、無限に近い潜在的関係が存在するということです。しかし、新しい関係を導入するたび、または別の技術プロバイダーを追加するたびに、コストが非常にかかることを覚えておかなければなりません」”

クレジットと取引先の質もブローカーを選択する際に必要な要素となります、とKnight氏。「それはただ価格だけでなく、契約履行の信頼性や取引先の評判などです。見込み客にデモフィードを提供することは誰でもできますが、それは往々にして無意味なことに終わってしまいます。顧客はあなたがどれだけ将来の取引先としてコミットメントできるかを知りたいのです。もしブローカーがCitiのような膨大なFXフランチャイズを持つ銀行を使えば、我々が何年も顧客のそばに立ちトップクラスのサービスを提供し続けていることが評判につながっているとわかるでしょう」